この度のウィルス禍について思うこと
疫病(伝染病)は昔から我が国でも度々襲ってくる脅威でした。全く見えないうちに忍び寄り多数の人々に病苦と死をももたらすことから、地震や火事以上に不可解な恐ろしさを伴っています。
昔はウィルスが病原などとは考えられません。人々は疫病も疫病神が引き起こすものと考えました。 春、桜花の散る頃に疫病神が活発になると考えて、その頃疫病除けの神事、鎮花祭(はなしずめのまつり)が所々の神社で行われてきました。最も怖れられたのは疱瘡、即ち天然痘だったと言われます。
また今年はウィルス禍のため中止になった山鉾の巡行で有名な八坂神社の祇園祭は、平安期に営まれた疫病退散のための御霊会(ごりょうえ)が始まりでした。
さらに明治期以降は一世一元と定められた元号ですが、平安期から中世にかけては度々おとずれる疫病の流行を機に改元することが多かったようです。新たな元号とすることで世に蔓延する疫病を乗り越えようとしたのでした。
古来、道祖神への信仰があります。塞(さえ)の神とも言います。どんと焼き、左義長で祭られて毎年無病息災が祈られています。塞の神は村々を結ぶ道の境や辻に祀られて、やはり疫病や禍が村に入り込まないように悪霊を防ぐために祀られたのです。
以上は我が国の一例に過ぎません。昔からいかに疫病に悩まされ、それを乗り越えるための祈りが常に成されていたことがわかります。今の科学的な考え方とは全く異なる仕方ですが、多分昔の人々も当時の知識、知恵の枠組みの中で精一杯対処して心の安寧を得てきたのだと思います。
世界的な伝染病の流行は世界史を左右する威力を持っています。史上最悪のスペインかぜは、大正7年から10年にかけて世界で約5億人が感染し推計1700~5000万人が死亡、日本でも3年間に3回流行し、約2380万人が感染、約39万人が死亡したそうです(Wikipediaから)。当時は第一次世界大戦の最中でしたが、そのかぜによる若い成人(兵士)の減少も休戦の要因だったということです。それ程までの被害には至らないと思いますが(希望的観測)、この度の新型ウィルスも世界の歴史を大きく変えるものと思われます。
ウィルスも自然を構成する一部、その自然が変化しているのです。自然の変化に対しては、その中に共存している私達自身が適応変化しなければ、存続してゆけないことになります。個々の行動や意識においても、社会の政治や経済においても。そのとき、私達の社会や意識の底に横たわる古よりの伝統(変らない部分)が心の拠り所となり、また変化を測る基準、変化を映す鏡となるはずです。
今私達も大きな疫病禍の只中にいます。緊張の中で医療に励んでおられる方々のご苦労を想いつつ、そして昔の人々と同じくこの疫病禍の収束を強く祈れば、私達お互いの感染防止と心の安寧のために今どうすべきかも見えてくる気がいたします。以前よりは格段に病原研究が進んでいる現代の科学的英知を集中すれば、遠からずきっと良いワクチンを作り出せるでしょう。誰が感染してもおかしくないこの状況で(自然による災禍はいつもそうです)、感染を免れている人に代わって不運にも感染し亡くなられた方々の無念を思いつつ、危機感をもって自らの行動又意識を更新していきたいものです。
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